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公開日2023.04.20最終更新日2023.05.15垂れ乳
産後に胸が垂れるのはどうして?産後の垂れ乳を防ぐ方法はあるの?
妊娠するとバストは平均2カップ程度大きくなりますが、産後(断乳・卒乳後)にはバストが急激にしぼみます。それだけでなく、たいていはバストが多かれ少なかれ垂れてしまいます。
妊娠・授乳期の豊満なバストを経験した後だけに、しぼんで垂れたバストにショックを受ける女性は少なくありません。
今回は、産後に胸が垂れる原因や産後の垂れ乳を予防・改善する方法について解説します。
目次
産後に胸が垂れる原因
妊娠すると出産・授乳に向けてバストは大きく成長し、断乳・卒乳後には元のサイズに戻ります(人によっては妊娠前よりも小さくなります)。バストの垂れはこうした体の自然な変化によって起こります。
出産前後のホルモン変化とバストサイズの変化
妊娠するとホルモンバランスが大きく変化し、出産に向けて女性の体は大きく変化していきます。
バストサイズの変化にとくに関係があるのは、プロラクチンいうホルモンです。プロラクチンは母乳の分泌にとって必須のホルモンで、プロラクチンの濃度が上がると乳腺が発達してバストが大きくなります。
プロラクチンの濃度は分娩直前にいったんピークに達します。分娩後に母乳による直接授乳を行わないと、プロラクチンの濃度は急激に減少し、妊娠前のレベルに戻ります。
これにより、発達していた乳腺は縮小し、バストがしぼんでいきます。最終的には妊娠前と同じ程度か、人によっては少し小さいサイズになることが多いです。
直接授乳を行うと、赤ちゃんが乳首に吸い付く刺激が脳に伝わり、その度にプロラクチンが大量に分泌されます。これにより、乳腺の大きさと母乳の分泌が維持されます。
母乳を与え続けている限りこの状態が続きますが、断乳・卒乳により授乳を行わなくなると、プロラクチンの濃度は急激に減少して妊娠前の状態に戻り、バストがしぼみます。
断乳・卒乳後にバストが垂れる理由
バストの膨らみが重力に引かれて垂れてしまわずに、上向きの形を維持できるのは、クーパー靭帯という結合組織のおかげです。
クーパー靭帯は胸筋とバストの皮膚の間に網の目ように張り巡らされています。バストの中身(乳腺や脂肪)がこの網に支えられることで、バストが上向きに保たれます。
妊娠したり太ったりしてバストが大きくなると、それに合わせてクーパー靭帯は伸びます。皮膚も同じようにして体に合わせて成長します。
クーパー靭帯は伸びることはあっても縮むことはないので、断乳・卒乳後にバストが小さくなると、クーパー靭帯が少し余った状態になります。余った分だけクーパー靭帯はたるみ、バストを支える力が弱まります。その結果、バストが垂れてしまうのです。
皮膚にも余りが生じるので、断乳・卒乳後に急激に胸がしぼむと皮膚にたるみやしわができることがあります。これもバストの見た目を損ないます。皮膚はクーパー靭帯と違って新陳代謝である程度は縮みますから、時間がたてばたるみ・しわは少しは改善します(完全には治らないときもあります)。
産後に胸が垂れるのを防ぐ5つの方法!実際の効果は?
産後の垂れ乳を防ぐには、「ブラ」「バストアップクリーム」「マッサージ」「筋トレ」「サプリ」などが効果的だと言われます(垂れてしまった胸を元に戻すのにも有効とされます)。
実際にそうした効果があるのかどうか、医学的に検証してみます。
自分に合ったブラジャーを着用する
クーパー靭帯は加齢とともに少しずつダメージが蓄積し、バストを支える力が弱まっていきます。日常的にブラジャーを着用していると、バストにかかる重力や圧力を軽減し、クーパー靭帯のダメージを防ぐ効果があると言われます。
スポーツなどでバストが激しく揺れるとクーパー靭帯がダメージを受けることがあるため、習慣的にスポーツをする人はスポーツに適したブラジャーを着用するとよいとも言われます。
ブラジャーのサイズなどが合っていないとクーパー靭帯をきちんと守れないため、自分に合った適切なブラジャーを着用することが重要とされています。出産前後にはバストサイズが大きく変化するので、時々サイズを測ってブラジャーを変えるのがよいということになります。
こうした説は下着メーカーが主張する考えで、一般常識にもなっていますが、実は医学的な根拠は不明です。
ブラジャーにはクーパー靭帯を守る効果はとくにないとする研究もあります。それどころか、胸が発育中の若い女性の場合、ブラジャーを着用するとクーパー靭帯の発達が妨害されてしまうという説すらあります。
産後にクーパー靭帯がたるむのは、バストサイズの大きな変化が主な理由です。バストサイズの変化でクーパー靭帯が伸びてたるんでしまうことをブラジャーで防ぐことはできません。
バストアップクリーム(バストケアクリーム)を塗る
「バストアップクリーム」「バストケアクリーム」などの商品名で販売されているクリーム(ジェル)には、以下のような成分が配合されています。
①保湿成分:ボルフィリン、セラミド、ヒアルロン酸など
②肌の弾力・ハリのもとになる成分:コラーゲン、セサフラッシュなど
③女性ホルモンのような働きをする成分:大豆イソフラボン、プエラリアなど
皮膚は表面にある「表皮」とその下にある「真皮」でできています。表皮はバリア機能(刺激や異物から肌を守る働き)を持っており、バリア機能がきちんと働くには潤いが大切です。①の成分は表皮の一番外側にある角質層に潤いを与え、バリア機能を補ってくれるでしょう。
肌の弾力・ハリは、真皮にある線維組織が生み出しています。②の成分は真皮の線維組織のもとになる物質ですが、肌にクリームを塗っても角質層(表皮の一番外側)にしか浸透しないので、②の成分が真皮に届くことはありません。
女性ホルモンは乳腺や皮下脂肪の成長に欠かせない物質ですが、③の成分も角質層までしか浸透しないため、クリームには体内の女性ホルモンを増やす効果は期待できません。
また、そもそも女性ホルモンだけ増やしても女性のバストを大きくしたり垂れを防いだりすることはできません。
女性ホルモンのような働きをする物質が体内に大量に入ると、ホルモンバランスが崩れて副作用が生じることがありますが、クリームの成分は体内まで達しないため副作用が生じる危険は低いでしょう。
結局、バストアップクリーム(バストケアクリーム)には肌を保湿する効果くらいしかないということになります。そうであれば、ただの保湿クリームで十分です。
マッサージをする
マッサージは自宅ででき、手軽に「バストをケアした」気分になれるので、人気があります(バストアップクリームを塗りながらマッサージするとそうした気分が高まります)。
しかし、マッサージには血行やリンパの流れを一時的に改善したり、心身をリラックスさせたりする効果があるだけで、バストを大きくしたり垂れを防いだりする効果は期待できません。
大胸筋を鍛える
乳房は大胸筋の上に乗っています。したがって、大胸筋を鍛えて盛り上がらせれば、産後に胸がしぼんでも筋肉で補うことができそうに思えます。
しかし、大胸筋が盛り上がるほど鍛えるのは女性には非常に困難ですし、それほど激しいトレーニングをしたら胸の脂肪が減ってバストサイズがダウンし、垂れがかえって目立ってしまいます。
「大胸筋にはバストを上向きに支える力があるので、大胸筋を鍛えれば垂れ乳を防いだり改善したりできる」という説を唱える人もいますが、これは誤解に基づいています。
バストを上向きに支えているのはクーパー靭帯であり、大胸筋ではありません。大胸筋をいくら鍛えても、バストは垂れたままです。
なお、クーパー靭帯は筋肉ではないので筋トレで鍛えることはできません。
バストアップサプリを摂取する
バストアップサプリには女性ホルモンのような働きをする成分が含まれています。
肌に塗るバストアップクリームと違い、サプリメントの成分は実際に体の中に入ります。それによって女性ホルモンの濃度が多少上がるということはありますが、バストを大きくしたり垂れを改善したりする効果までは期待できませんし、摂取量によっては副作用の危険があります。
産後の垂れ乳は予防できない!元に戻す方法はある?
結論を言えば、産後に胸が垂れるのを予防する方法はありません。しかし、垂れた胸を改善する法ならあります。
上で紹介したブラジャーやクリーム、マッサージ、筋トレ、サプリなどの方法は、垂れ乳を予防できないだけでなく改善する効果も期待できません。
垂れ乳を元に戻すには、豊胸術や乳房吊り上げ術などの美容外科治療が必要です。
美容外科というと、メスで切開する手術を思い浮かべる方が多いかと思いますが、最近では切らない治療法も存在します。
断乳・卒乳後というのは子育てに手間がかかる時期です。切開手術が必要な方法だと体へのダメージが大きく、ダウンタイムが長いため、子育てに支障をきたす恐れがあります。
切らない治療法であれば、断乳・卒乳後すぐに開始することができ、子育てや生活への影響を最小限に抑えることができます。
産後の垂れ乳改善にはバストタイトがおすすめ
バストタイトは高周波の力でバストのクーパー靭帯や皮膚を縮める施術です。産後にたるんでしまったクーパー靭帯や皮膚を引き締めることで垂れ乳を改善できます。
バストタイトの施術では、長い針状の電極をバストに差し込み、皮膚の外側に当てる電極と挟み撃ちにして、胸の中に高密度の高周波を照射します。
クーパー靭帯や真皮の主成分であるコラーゲンは、高周波を浴びると縮む性質があります。施術後すぐにある程度の効果が現れますが、コラーゲンの変化は徐々に進むため、効果が完全に現れるまでに数ヶ月かかります。
術後には施術部位が少し腫れます。腫れは1~2週間ほどで目立たなくなります。針を刺したところに小さな傷跡ができますが、目立つほどではありません。傷跡は徐々に薄くなって肌と同じ色になります。
術後3日間は飲酒、激しい運動、入浴は避ける必要があります。シャワーであれば翌日から可能です。
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まとめ
- 産後に胸が垂れるのは、バストサイズの大きな変化によりクーパー靭帯がたるむため。
- 産後の垂れを予防する方法はない。
- ブラジャー、クリーム、マッサージ、筋トレ、サプリでは垂れ乳を治せない。
- 垂れ乳を治すには豊胸術・乳房吊り上げ術が必要。
- 産後の垂れ乳改善にはバストタイトがおすすめ。
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