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公開日2022.02.11最終更新日2022.08.30豊胸基礎知識

豊胸手術後、飛行機に乗っても大丈夫?

「豊胸している人が飛行機に乗ると危険」という話があります。インターネットなどを通して広まっており、話を聞いて不安になった方もいらっしゃると思います。

本当にそのような危険があるのでしょうか。「豊胸後に飛行機に乗ると危険」という説の真相を探ってみましょう。

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「豊胸後に飛行機に乗ると危険」は都市伝説

結論から言えば、豊胸手術を受けた人が飛行機に乗っても普通はまったく問題ありません。

世界中で多くの女性が豊胸手術を受けており、そのなかには飛行機で移動したことがある人も大勢います。

もし豊胸後に飛行機に乗るのが危険ならば、すでに多くの事故・事件が発生して報道され、社会問題となり、何らかの規制がかけられているはずです。

実際にニュースで報道されたことがある事例は、極めて特殊なケースです。

その1つが、飛行中の気圧変化でシリコンバッグが破裂したのではないかと言われている事件です。

ロシア人の女性が着陸直前に意識を失い、搬入先の病院で調べたところ、胸のシリコンバッグが破損していました。とくに胸を強く打ち付けるような出来事はなかったことから、気圧変化で破裂したと見られています。

シリコンバッグは気圧の変化で影響を受けるようなものではないので、通常であれば破裂することはありません。

その女性のシリコンバッグが本当に気圧変化で破裂したのだとすると、よほど質の悪い(欠陥のある)シリコンバッグが用いられていて、中に何らかの気体が一緒に封入されていたとしか考えられません。

これは極めて特殊なケースなのですが、この出来事がニュースで報道されたことをきっかけにして「飛行機に乗るとシリコンバッグが破裂する」という話が広まりました。

さらには、「(豊胸術の種類によらず)豊胸後に飛行機に乗ると危険」という話にまでなって、都市伝説と化してしまったのです。

飛行機の気圧変化でシリコンバッグが破裂しないわけ

シリコンバッグが気圧変化で破裂することはまずありません。日本ではシリコンバッグの大半が輸入品ですが、もし気圧変化で破裂するのなら空輸されてきた段階で破裂しているはずです。

それでも心配という方や、理由を詳しく知りたいという方のために、シリコンバッグが気圧変化で破裂しないわけを噛み砕いて解説しておきましょう。

気圧とは

地球には大気があり、大気にも重さがあります。実は、大気は地球上の物体に「のしかかって」おり、その重さ(のしかかる力)は相当なものです。簡単に言えば、大気ののしかかる力の大きさが気圧です。

人間の体にも、自分よりも上にある大気がのしかかっています。しかし、体内にある空気やガスや血液などの液体が大気を押し返しており、大気がのしかかる力(気圧)と体内から押し返す力がつりあっているため、体がつぶれたりへこんだりすることはありませんし、気圧の力を感じることもありません。

地表から離れて高いところにいくほど、自分より上にある空気の量(自分にのしかかる空気の量)が減るため、気圧は下がります。

あまり気圧が下がると体の働きに問題が生じるため、飛行機の中は地表の80%程度の気圧に保たれる仕組みになっています。

飛行機でポテトチップスの袋が膨らむわけ

飛行機にポテトチップスなどの密封されたお菓子を持ち込むと、上空で袋やふたがパンパンに膨れることがあります。実際に経験した人も多いでしょうし、話としてもよく知られています。

ポテトチップスの袋には中身が破損したり酸化したりするのを防ぐためにガスが詰まっています。

ガスなどの気体は、気圧が下がると膨張する(体積が増える)という性質があります。上空の飛行機では気圧が低いため、ガスが膨張し、ポテトチップスの袋がパンパンになるのです。

袋の中身が液体や固体だけだったとしたらこうはなりません。液体や固体は気圧が変化してもまったくと言っていいほど体積が変わらないため、袋の状態も変化しないのです。実際、ペットボトル飲料などは飛行機に持ち込んでも膨らんだりしません。

シリコンバッグの中身は気体ではないので破裂しない

もしシリコンバッグの中に気体が入っているのだとしたら、気圧の変化でポテトチップスの袋のように膨らみ、場合によっては膨らみすぎて破裂することもあるでしょう。

しかし、実際にはシリコンバッグの中身はシリコンジェルという液体(粘り気が強く、半分固体のような液体)なので、気圧が下がっても膨らむことはなく、ましてや破裂することはありません。

先ほど紹介した事件の女性の場合、シリコンバッグのなかに何らかの原因で気体が入り込んでいたのではないかと考えられます。製造段階でガスが入り込んだ可能性が高いかもしれません。

きちんとした品質のシリコンバッグであれば、飛行機で破裂することは考えられないのです。

シリコンバッグが破裂するケース

胸に挿入したシリコンバッグが破裂することがないわけではありません。というより、破裂することもまれではないと言ったほうがよいでしょう。

破裂の原因は、強い衝撃や圧迫です。例えば、自動車事故で胸を強く打ち付けたり、乳がんのマンモグラフィー検査で乳房が強く圧迫されたりしたために、シリコンバッグが破裂することがあります。

飛行機のなかで破裂した例もあります。乱気流のために飛行機が激しく揺れ、前の座席に体を叩きつけられてシリコンバッグが破裂するという事故 がありました。

事故にあったのはシリコンバッグ挿入法で豊胸した超巨乳モデルのロシア人女性で、破裂の原因は前後の座席の間隔が狭すぎるからだとして飛行機会社を訴えています。

このケースで問題なのは、豊胸よりも乱気流のほうでしょう(女性の言い分によれば、座席の間隔も)。幸いなことに、巨大なシリコンバッグがエアバッグの代わりをしたおかげで重傷を負わずに済んだという可能性も考えられます。

シリコンバッグが破裂した場合、放置するとバストの美観が損なわれますし、シリコンバッグからの流出物で炎症ができ、乳がんの要因になることもあります。

そのため、外科手術でシリコンバッグや流出したシリコンジェルを取り除く必要がありますが、流出の状態によっては難手術となることがあります。

破裂などの危険を避けたいのであれば、より安全な豊胸術(脂肪注入法や成長再生豊胸)を選択するのがよいでしょう。

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まとめ

  • 「豊胸後に飛行機に乗ると危険」ということはない。
  • そうした噂が広まったきっかけは、豊胸女性のシリコンバッグが飛行機の気圧変化で破裂したとされる出来事のニュース。
  • シリコンバッグに詰まっているのは液体なので、通常であれば気圧変化で破裂することは考えられない
  • ニュースの女性が挿入していたシリコンバッグには品質上の問題があり、気体が混入していたと考えられる。
  • 正常なシリコンバッグであれば気圧変化による影響はないが、強い衝撃・圧迫で破裂することはある。
  • 破裂などの危険が心配なら、脂肪注入や成長再生豊胸などの安全な豊胸術がおすすめ。
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